
奥札幌の秘湯 湖畔の宿支笏湖
丸駒温泉旅館
Sapporo's_Secret_Onsen_Sanctuary_Marukoma_Onsen_Ryokan English Site
ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉 | pH |
|
Sodium, Calcium – Chloride / Hydrogen carbonate / Sulfate springs | ||
(低張性 中性 高温泉) | ||
旧泉質名:含土類・石膏-食塩泉 |
こんな人に最適
- 乾燥肌の方
- 切り傷を早く治したい方
- 冷え性の方
- ストレスを感じている方
- 美肌効果を試したい方
- 入浴後の爽快感を味わいたい方
- 住所
- 〒066-0287 北海道千歳市幌美内7番地
- TEL
- 0123-25-2341

宿の公式HP
源泉 | 利用状況 | |
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湧出状況 |
温泉力 チャート(5段階評価)
水素イオン濃度 (pHペーハー)

- 一言コメント
- 中性は肌への刺激が少ない優しい温泉
温泉スペック
※環境省から2014年7月に改訂された「鉱泉分析表指針」の泉質別適応症を元に、分かりやすく表現したものです。
①メンタル回復 | ②不眠症 | ③血行促進 | ④冷え性 | ⑤ドライスキン |
⑥きりきず | ⑦皮膚病 | ⑧高血圧(軽症) | ⑨胸やけ(飲用) | ⑩胃腸の不調(飲用) |
⑪便秘(飲用) | ⑫生活習慣病(飲用) | ⑬糖尿病 | ⑭痛風 | ⑮メタボ対策(飲用) |
⑯胆道系の不安(飲用) | ⑰貧血 | ⑱関節リウマチ | ⑲脊椎の痛み | ⑳免疫力アップ |
㉑筋肉痛・神経痛 | ㉒軽い喘息 | ㉓痔の痛み | ㉔病後回復 | ㉕疲労回復 |
- ※注①・・・泉質別適応症に、自律神経不安定症、うつ状態がある泉質(単純温泉・塩化物泉・硫酸塩泉・二酸化炭素泉)。
- ※注②・・・泉質別適応症に、不眠症がある泉質(単純温泉)。
- ※注③・・・泉質別適応症に、末梢循環障害がある泉質(塩化物泉・炭酸水素塩泉・硫酸塩泉・二酸化炭素泉・硫化水素型の硫黄泉)。
- ※注④・・・泉質別適応症に、冷え性がある泉質(塩化物泉・炭酸水素塩泉・硫酸塩泉・二酸化炭素泉)と含鉄泉。
- ※注⑦・・・泉質別適応症に、皮膚乾燥症、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、表皮化膿症、慢性湿疹がある泉質(塩化物泉・炭酸水素塩泉・硫酸塩泉・酸性泉・硫黄泉)。
- ※注⑨・・・飲用の泉質別適応症に、逆流性食道炎がある泉質(炭酸水素塩泉)。
- ※注⑩・・・飲用の泉質別適応症に、萎縮性胃炎(塩化物泉)、胃十二指腸潰瘍(炭酸水素塩泉)、胃腸機能低下(二酸化炭素泉)がある泉質。
- ※注⑪・・・飲用の泉質別適応症に、便秘がある泉質(塩化物泉・硫酸塩泉)。
- ※注⑫・・・泉質別適応症に、高コレステロール血症、糖尿病、痛風がある泉質(浴用で、酸性泉・放射能泉/飲用で、炭酸水素塩泉・含よう素泉・硫黄泉)。
- ※注⑮・・・飲用の泉質別適応症に、高コレステロール血症がある泉質(硫酸塩泉・含よう素泉・硫黄泉)。
- ※注⑯・・・飲用の泉質別適応症に、胆道系機能障害がある泉質(硫酸塩泉)。
- ※注⑰・・・飲用の泉質別適応症に、鉄欠乏性貧血がある泉質(含鉄泉)。
- ※注⑱⑲・・・泉質別適応症に、関節リウマチ、剛直性脊椎炎がある泉質(放射能泉)。
- ※注⑳・・・放射能泉。
- ※注㉑㉔・・単純温泉は、刺激が少ないのでリハビリに適しており、泉質別適応症にはないが「神経痛の湯」「脳卒中(中風)の湯」とも呼ばれている。
泉質別適応症に該当 | 一般的適応症に該当 |
美肌の湯 7要素
合計5ポイント ※「美肌の湯」と呼ばれる泉質をポイント数で表しました。
クレンジング・なめらか効果 | シワ防止・蘇生効果 | 美白・シミ予防効果 |
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炭酸水素塩泉 | 硫酸塩泉 | 硫黄泉 |
角質除去・つるすべ効果 | コーティング・保湿効果 | しっとり・保湿効果 | 洗浄効果 |
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弱)アルカリ性の温泉 | 塩化物泉 | メタけい酸(100mg/kg以上) | メタほう酸(10mg/kg以上) |
- ※「四大美人泉質」は「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「硫黄泉」「(弱)アルカリ性単純温泉」と言われています。
- ※「塩化物泉」は塩分パックで肌をコーティングする事で、保温・保湿効果と同時に、温泉成分をキープしてくれます。角質が除去された「美人の湯」の後に入る「仕上げの湯」とも呼ばれています。
- ※「メタけい酸」は保湿作用があり、一部の化粧品にも使われています。
- ※「メタほう酸」は洗浄作用があり、目薬にも一部使用され、にきびにも効果があると言われています。
湯ざわり(入浴時)感触メーター(5段階評価)
つるつる | ![]() |
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とろとろ | ![]() |
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さらさら | ![]() |
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もちもち | ![]() |
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しゅわしゅわ | ![]() |
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ぴりぴり | ![]() |
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湯あがり(入浴後)感触メーター(5段階評価)
すべすべ | ![]() |
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かさかさ | ![]() |
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さらさら | ![]() |
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ぺたぺた | ![]() |
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しっとり | ![]() |
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ぽかぽか | ![]() |
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露天風呂からの眺望メーター(5段階評価)
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支笏湖、風不死岳などの眺望 |
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男女別展望露天風呂 |
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評価 5 |
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源泉の利用状況
加水 なし |
加温 なし |
消毒 なし |
循環 なし |
入浴剤 なし |
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○/△ | ○ | ○ | ○ | ○ |
※男女別大浴場で湯温調節のため、わずかに湧き水を加水する場合あり |
源泉率 | 99~100% | ||||
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湯の入替 | 週に4~5回 ※貸切風呂は毎日 | ||||
源泉の湧出状況 | 敷地内の自家源泉:地下10mから動力揚湯 | ||||
源泉から湯船までの距離 | 0~20m以内 | ||||
引湯方法 | パイプで引湯 ※天然野湯は足元から湧出 | ||||
温度の調整方法 | 湯量を調節 / 一部加水する場合あり(大浴場) | ||||
飲泉 | 可 ※男女別の展望露天風呂に飲泉所あり。 | ||||
源泉かけ流し風呂 | 全ての湯船 |
温泉成分表 温泉分析書
泉質名 | ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉(低張性 中性 高温泉) 旧泉質名:含土類・石膏-食塩泉 |
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湯の色 | 無色澄明![]() ![]() |
湯の香り | 無臭 |
溶存物質 | 1,726mg/kg(ガス性のものを除く成分①+②+③の合計)※有効成分が市販の入浴剤の約12~17倍! |
泉温 | 50.3℃ |
pH値 | 6.3(中性) |
湧出量 | 約240リットル/分 ※1号井と2号井の合計 一人あたりの温泉利用量(湧出量/収容人数) :約1.6リットル/人(最大収容人数150人) |
温泉の成分(源泉1kg中に含有する分量)
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①陽イオン | ミリグラム | ミリバル | ミリバル% |
ナトリウムイオン(Na+)★ | 276.6 | 12.03 | 54.78 |
カルシウムイオン(Ca2+)★ | 119.1 | 5.94 | 27.05 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 36.5 | 3.00 | 13.66 |
カリウムイオン(K+) | 32.1 | 0.82 | 3.73 |
鉄(Ⅱ)イオン(Fe2+) | 2.7 | 0.10 | 0.46 |
アンモニウムイオン(NH4+) | 0.8 | 0.04 | 0.18 |
マンガンイオン(Mh2+) | 0.8 | 0.03 | 0.14 |
計① | 468.6 | 21.96 | 100.00 |
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②陰イオン | ミリグラム | ミリバル | ミリバル% |
塩化物イオン(Cl-)★ | 363.3 | 10.25 | 47.13 |
炭酸水素イオン(HCO3-)★ | 381.5 | 6.25 | 28.74 |
硫酸イオン(SO42-)★ | 249.2 | 5.19 | 23.86 |
ふっ化物イオン(F-) | 0.8 | 0.04 | 0.18 |
臭化物イオン(Br-) | 0.4 | 0.00 | 0.09 |
りん酸イオン(H2PO4-) | 0.14 | 0.01 | 0.00 |
計② | 995.6 | 21.75 | 100.00 |
③非解離成分 | ミリグラム | ミリモル | |
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メタけい酸(H2SiO3)★ | 226.5 | 2.90 | |
メタほう酸(HBO2)★ | 34.4 | 0.79 | |
メタ亜ひ酸(HAsO2) | 0.8 | 0.00 | |
計③ | 261.7 | 3.69 |
溶存ガス成分 | ミリグラム | ミリモル | |
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遊離二酸化炭素(CO2) | 187.1 | 4.25 | |
遊離硫化水素(H2S) | 0.0 | 0.00 | |
計④ | 187.1 | 4.25 |
その他微量成分 | |||
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銅:0.02mg/kg、亜鉛イオン:0.01mg/kg、鉛・カドミウム・総水銀・アルミニウム検出せず |
★のマークがついているところは、「泉質名」に関わる成分と、「温泉」「療養泉」の資格条件になる成分です。
この泉質ならではの適応症(平成26年7月1日改定)
きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
この泉質ならではの飲用の適応症(平成26年7月1日改定)
萎縮性胃炎、便秘、耐糖能異常(糖尿病)、高尿酸血症(痛風)、胃十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、胆道系機能障害、高コレステロール血症
浴用の一般的適応症(平成26年7月1日改定)
筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進
この泉質ならではの浴用の禁忌症(平成26年7月1日改定)
なし
浴用の一般的禁忌症(平成26年7月1日改定)
病気の活動期(特に熱のあるとき)、活動性の結核、進行した悪性腫瘍又は高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓又は肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性の病気の急性増悪期
分析日(上記の温泉成分表は下記機関の調査データより引用)
令和元年10月10日(日本衛生株式会社)
- ※適応症・禁忌症に関しては、平成26年7月の改正の「鉱泉分析法指針」に準拠しています。
- ※宿よりデータを提供して頂きました。
「温泉」の資格20項目と「療養泉」の資格8項目
条件/成分(1kg中の割合) ※ひとつでも条件をクリアすれば「温泉」「療養泉」 |
A【温泉法】 「温泉」の条件(規定値) |
B【鉱泉分析法指針】 「療養泉」の条件(規定値) |
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1 | 温度(泉源から採取される時点) | 25℃以上 | |
2 | 溶存物質(ガス性のものを除く) | 総量1000mg以上 | |
3 | 遊離二酸化炭素(遊離炭酸) (CO2) | 250mg以上 | 1000mg以上(二酸化炭素泉) |
4 | リチウムイオン(Li+) | 1mg以上 | ― |
5 | ストロンチウムイオン(Sr2+) | 10mg以上 | ― |
6 | バリウムイオン(Ba2+) | 5mg以上 | ― |
7 | 総鉄イオン[Fe2+(鉄(Ⅱ)イオン/フェロイオン)+Fe3+(鉄(Ⅲ)イオン/フェリイオン)] | 10mg以上 | 20mg以上(含鉄泉) |
8 | マンガン(Ⅱ)イオン(第一マンガンイオン)(Mn2+) | 10mg以上 | ― |
9 | 水素イオン(H+) | 1mg以上 | 1mg以上(酸性泉) |
10 | 臭化物イオン(臭素イオン)(Br-) | 5mg以上 | ― |
11 | よう化物イオン(よう素イオン)(I-) | 1mg以上 | 10mg以上(含よう素泉) |
12 | ふっ化物イオン(ふっ素イオン)(F-) | 2mg以上 | ― |
13 | ひ酸水素イオン(ヒドロひ酸イオン)(HAsO42-) | 1.3mg以上 | ― |
14 | メタ亜ひ酸 (HAsO2) | 1mg以上 | ― |
15 | 総硫黄 (S) [HS-(硫化水素イオン)+ S2O32-(チオ硫酸イオン)+ H2S(遊離硫化水素)] | 1mg以上 | 2mg以上(硫黄泉) |
16 | メタほう酸(HBO2) | 5mg以上 | ― |
17 | メタけい酸(H2SiO3) | 50mg以上 | ― |
18 | 炭酸水素ナトリウム(重炭酸ソーダ)(NaHCO3) | 340mg以上 | ― |
19 | ラドン(Rn) | 20ナノキューリー以上 20×10-10Ci(キューリー)以上 20(20百億分の1キューリー単位)以上 =74Bq(ベクレル)/5.5マッヘ以上 |
30ナノキューリー以上(放射能泉) 30×10-10Ci(キューリー)以上 30(百億分の1キューリー単位)以上 =111Bq(ベクレル)/8.25マッヘ以上 |
20 | ラジウム塩(Raとして) | 10-8mg以上 1億分の1㎎以上 |
― |
この温泉・療養泉の資格条件 クリア数 | 5(20項目中) | 2(8項目中) | |
合計 7 ポイント |
温泉の言い伝え/その他
伝承による効能
‐
この湯に浸かった歴史上の人物
‐
この湯に浸かった著名人
多数の文化人・芸能人が訪れているがプライベートの為不記載
温泉の解説
「丸駒温泉旅館」は、北海道の支笏洞爺国立公園内の支笏湖の北西岸に佇む秘湯の一軒宿。
背後に恵庭岳(標高1320m)があり、太古の火山活動により温泉が湧出するようになったと推測される。
泉質名は、「ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉」。
溶存物質の合計(ガス性のものを除く)は、1,726㎎/kgで、pH6.3の中性。
主要な源泉井戸は自家源泉3本で、男女別大浴場は1号井の源泉を利用。
展望露天風呂は、1号井が少し入っているが、2号井がメイン。
貸切露天風呂も2号井から源泉を引いている。
湯の色は、湧出時は無色澄明だが、地表の空気に触れると、淡褐色(微濁黄色)に変わる。
そして、この宿の名物「天然野湯(旧称:天然露天風呂)」も、1号井と2号井と同じ泉質名ながら、不思議なことに時間を経過しても無色澄明のままだ。
ここでは、主要泉源である1号井の温泉の解説をさせていただく。
泉源は浅く、地下10mほどからの動力揚湯となる。
まず、温泉の溶存物質で注目したいのは、やはり一番多く含まれている陽イオンのナトリウムイオンと、陰イオンの塩化物イオン。それらが結びつき「ナトリウム―塩化物泉」となる。これは、旧泉質名でいうと「食塩泉」。
その特徴は、カラダの芯まで温めてくれる保温効果がある事。塩分が汗腺を防ぎ、熱の放出を遅らせるので、湯冷めしにくく「熱の湯」と表現される。また、塩化物泉は、塩分の消毒作用もあり「傷の湯」と呼ばれる。
さらに塩化物泉は塩分パックによるコーティング作用もあるので、保湿効果も高い。
塩化物泉の泉質別適応症は、きりきず、抹消循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症。
陰イオンの中で2番目に多く含まれているのは炭酸水素イオン。これはカラダ中の血行を促進する効果
がある。
これが、陽イオンのカルシウムイオンやマグネシウムイオンと結びつくと「カルシウム(・マグネシウム)―炭酸水素塩泉」となり、旧泉質名で言えば「重炭酸土類泉」となる。
ちなみに新泉質名である炭酸水素塩泉は、旧泉質名で「重炭酸土類泉」と「重曹泉(ナトリウム―炭酸水素塩泉)」の2つに分けられていた。
「カルシウム―炭酸水素塩泉(重炭酸土類泉)」の多くは二酸化炭素や鉄を含み、カルシウムイオンやマグネシウムイオンの作用により鎮静効果がある。慢性皮膚病や、アレルギー性皮膚炎などにもいい。また、炭酸水素塩泉としては後述の硫酸塩泉と同じく「美肌の湯」の代表格と言われている。
また、炭酸水素塩泉は、湯上がりに肌からの水分の発散が盛んになる作用があるので「清涼の湯」とも表現される。温泉は主に寒い時期に喜ばれるが、この泉質は暑い夏の時期でも入浴後の爽快感が味わえる。
炭酸水素塩泉の泉質別適応症は、きりきず、抹消循環障害、冷え性、皮膚乾燥症。
3つめの主成分の陰イオンの硫酸イオンは、陽イオンのカルシウムイオンと結びつき、「カルシウム―硫酸塩泉」となる。これは、旧泉質名でいうと「石膏泉」に分類されるが、硫酸イオンは、いわゆる傷口をふさぐ作用があり、それと同時に皮膚の弾力性を刺激し、シワを防ぐ効果もあるという。そのことから「傷の湯」「アンチ・エイジングの湯」とも呼ばれる。 カルシウムイオンは、角質層の形成を促進させる効果があるので、「カルシウム-硫酸塩泉」(旧泉質名:石膏泉)は、「美肌の湯」としても知られている。
硫酸塩泉の泉質別適応症は、塩化物泉と同様、きりきず、抹消循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症。
現在ニッポンでは温泉の泉質を10種類に分けられているが、ここ丸駒温泉では、そのうちの3種類の泉質「塩化物泉」「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」がブレンドされたものと考えると、それだけで、極めて極上の温泉である事がわかる。しかも加水も、循環ろ過もしない、正真正銘の「源泉100%かけ流し」で体感できるのだから、嬉しい限りである。
上記の解説では、ナトリウムイオンは、塩化物イオンとの結びつきを紹介したが、炭酸水素イオンとの結びつきにも注目したい。それは、炭酸水素ナトリウム(重炭酸そうだ) が、温泉の資格成分であるから。
その資格成分量があるかどうかの計算方法は「鉱泉分析法指針」によると、ナトリウムイオンと炭酸水素イオンの当量(mval/kg)を見て,少ない方の当量に炭酸水素ナトリウムの分子量(84.01)を乗じて計算するとある。
つまり、温泉分析書を見ると、少ない方の炭酸水素イオン6.25mvalに84.01をかけると、525mg/kgとなり、「温泉」の資格である基準値340mg超えている事が分かる。
これにより、丸駒温泉は水素イオン濃度pH6.3の中性にも関わらず、アルカリ性(pH8.5以上)のような、入浴した際に、つるつるスベスベ感を覚えるのは、この成分の影響と考えることができる。
さらに、上記の陽イオン、陰イオン以外の非解離成分にも注目したい。
天然の保湿成分と言われるメタけい酸は、226.5mg/kgもあり、温泉の資格を得られる基準値(50mg/kg以上)の4.5倍以上も含まれる。
また、ニキビなどを防ぐ洗浄効果の高いメタほう酸も、34.4mg/kgもあり、これは温泉の基準値(5mg/kg以上)の約7倍も含まれている。
サブ的な要素であるが、この2つの成分があることは「美肌の湯」と考えてもいいだろう。
加えて、メタ亜ひ酸も、温泉の資格基準値(1mg/kg以上)にわずかに満たないが、0.8mg/kgも含有している。
メタ亜ひ酸は微量ながらも毒性を持つ物質であるが、慢性皮膚病、アトピー性皮膚炎などの抗炎症作用の他、殺菌作用による肌トラブルの緩和にいいとされる。
溶存ガス成分にも注目したい。
遊離二酸化炭素が187.1mg/kgも含有しているからだ。
250mg/kg以上あれば「温泉」の資格を得られ、1,000mg/kg以上あれば、血管拡張作用で血行促進を促す「二酸化炭素泉」を名乗れる。ちなみに人気の炭酸ガス系の入浴剤には40~100mg/kgが含有されているが、この温泉はその数倍入っているのが分かる。ただし泉温が高いため気泡は確認できない。
陽イオンに話は戻るが、この温泉の特徴である湯の色の要因となっているのは、2.7mg/kgも含有されている鉄(Ⅱ)イオンと考えられる。
10mg/kg以上あれば「温泉」の資格を得られ、20mg/kg以上あれば「含鉄泉」を名乗れる成分である。
よく温まる作用があり、貧血、更年期障害、月経障害にいいとされ、女性に嬉しい効果が期待できる。
この成分が地表に出て、酸化することにより、無色澄明から淡褐色(微濁黄色)に変わるのだ。
先に述べた「天然野湯(旧称:天然露天風呂)」の湯の色は、同じ泉質名であるにも関わらず、無色澄明のままなのは、温泉分析書を見ると、その鉄(Ⅱ)イオンが含有されていないからなのだ。
その「天然野湯」は、非常に珍しい、泉源が湯舟の下にある、いわゆる“自然湧出”の“足元湧出泉”で、しかも、その湯量も季節によって変わるという。まさに天然の露天風呂なのである。
支笏湖の水位によって、この野湯の水位も上下する。野湯の水位は、雨量が増える夏から秋にかけて最も深くなり、冬から春先にかけて最も浅くなる。つまり、支笏湖の水位が、野湯の自噴量に影響を与えているようだ。
ちなみに、3本の源泉井戸のうち、1号井と2号井の距離は、20m。
1号井と2号井から天然野湯までは70~50m。
これだけの距離で、1号、2号井と天然野湯の湯の色が違うのは、地下に眠る源泉が、地表に出るまでの岩盤というフィルターで温泉のキャラクターが決まるという典型的な例とも言える。
また、飲用の泉質別適応症としては、塩化物泉で、萎縮性胃炎、便秘。
炭酸水素塩泉で、胃十二指腸漬瘍、逆流性食道炎、耐糖能異常(糖尿病)、高尿酸血症(痛風)。
硫酸塩泉で、胆道系機能障害、高コレステロール血症、便秘・・・となっている。
飲泉許可は2号井のみだが、男女別の展望露天風呂でいただくことができる。
ただ、メタ亜ひ酸が入っているので、成人で1日最大で100mlぐらいが無難だろう。
以上のように、丸駒温泉の解説をさせていただいたが、それは主に化学的効果の視点からである。
しかし、温泉がヒトに与えてくれる効力はそれだけではない。
優れた泉質の露天風呂に浸かりながら、周りを見渡せば、そこは手付かずの大自然のままの支笏湖があり、その先には、泰然とした風不死岳(ふっぷしだけ/標高1,103m)も鎮座している。
北海道らしい冷涼で、澄んだ空気に包まれながらの湯あみは、現代人が抱える悩みのひとつであるメンタル面での癒しに必ず役立てるに違いない。
温泉の温かさと静かな環境が、副交感神経を優位にし、ストレス軽減やココロのリラックスを促すだろう。(J)
展望露天風呂(女湯) | 男女別大浴場(女湯) |
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まさに絶景の露天風呂。日本一の水質と透明度を誇る支笏湖と風不死岳の姿は、温泉の泉質と共に訪れる人たちを魅了する。支笏湖の湖面から高く作られているため、悠々とその景色が望めることだろう。展望露天風呂と大浴場の内風呂はセットになっている。フィンランド式のサウナも併設されている。 | 大きな浴槽が温度差により2つに分けられ、お好みの湯船で湯あみができるのが嬉しい。大人20人以上が同時に余裕で入れるほどの広さだ。自家源泉かけ流しの泉質は、美肌効果、保湿効果、保温効果など多岐に渡る。すぐ展望露天風呂に出られるのもいい。 |
バレルサウナ付き貸切露天風呂「丸の湯」 | 天然野湯(旧称:天然露天風呂) |
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丸駒温泉旅館には2つの貸切露天風呂があるが「丸の湯」がそのひとつ。ロウリューも楽しめるフィンランド式バレルサウナの隣には、支笏湖の水かけ流しの信楽焼の陶器風呂(水風呂)。さらに内風呂に、源泉かけ流しの内風呂も併設されていた。極上の温泉とプライベート・サウナ、そして絶景の支笏湖とのセットは、この上ない贅沢感を味わえるだろう。 | 男女別大浴場の脱衣所から渡り廊下を歩いていくと、この宿名物の「天然野湯」が現れる。 このお風呂の大きな特徴が、湯船の底から源泉が湧出している点。さらに支笏湖とつながっており、湖の水位と共に湯船の水位も変化するところも面白い。季節によって、その水位も変わり、雨量が多い夏から秋は水位が高くなり、冬から春先は低くなる。 |
宿レポート
支笏洞爺国立公園内の原生林に囲まれた支笏湖は、南東に樽前山、風不死岳(フップシダケ)、北西に恵庭岳を望むカルデラ湖である。
約4万年前の噴火によりできたと言われており、できた当時は円形であったが火山活動により恵庭岳と風不死岳が肥大化し、現在のようなくびれた形になったとされている。
北海道のような冷涼なエリアでは冬になると湖は凍るものとイメージする方もいるかもしれないが、支笏湖は真冬でもめったに凍ることのない日本最北端の不凍湖としても知られている。
その理由は秋田県の田沢湖に次ぐ日本で2番目の水深にある。
最大水深360m、平均水深265mという全面に渡ってかなりの深さをもつこの湖では、温かい水が湖の深くに蓄えらており、真冬でも水温が下がりきらないのだ。
また、透明度が非常に高いことでも有名で、環境省の湖沼水質調査で何度も日本一に輝いている。
その透明度は観光にも活かされており、支笏湖温泉街から出ている水中遊覧船を利用すれば、船内の窓から支笏湖を泳ぐヒメマスもよく見えるようだ。
この支笏湖は「丸駒温泉旅館」とも密接に関わっており、ハード的にもソフト的にも「丸駒温泉旅館は支笏湖と共にある」と言える。
この旅館はその支笏湖の北岸、恵庭岳の麓に佇む一軒宿だ。
創業は1915年(大正4年)。
「初代」佐々木初太郎氏が開き、2015年(平成27年)には創業100年を迎えた、北海道屈指の老舗旅館である。
1915年頃と言えば、世界的にはちょうど第一次世界大戦のまっただ中にあたる。
このころは多くの資源の獲得や北方からの侵略に備えて国家としても北海道を整備する必要があった。
そのため、本州からの移住者を増やす政策がとられ、実際に北海道が急速に開拓されていった時代なのだ。
移住者は東北や北陸からが多かったというが、それ以外にも全国から人が集まり、多様な文化が北海道にもたらされている。
この丸駒温泉旅館を開いた佐々木初太郎氏も、東北は福島県の出身であり北海道での発電所建設に携わる開拓民の一人であった。
創業のきっかけは、初代が自分の病をこの未開の地で湯治して治したことから始まる。
神経痛を患っていた初代は、恵庭岳の麓に白い煙が見えた話を聞き、温泉に違いないと踏んで調査に向かったという。
当時の支笏湖は道も殆ど無く、大きな海ヘビも出るという噂もあった文字通り「未開の地」。
そんな恐怖をものともせず、原生林の中を突き進んだ結果見つけたのが、今もこの宿のシンボルとなっている支笏湖とつながる天然露天風呂の源泉なのだ。
始めは茅葺きの湯小屋から始まり、初代の明るい人柄が釣り人や登山客、湯治客など多くの人を呼んだ。
そして、徐々に建物を増やしながらだんだんと温泉宿の体裁を整えていったという。
当時はこの宿までの陸路は無かったため、船便でお客様を運んでいたという。
今でこそインフラが整備され、新千歳空港から1時間もかからずアクセスできる好立地と言えるが、当時は行くだけでも一苦労だったのだろう。
それでも多くの人が訪れたのには、その苦労を差し引いても、この温泉は行くだけの価値があることに他ならない。
そうして大きくなっていったこの宿は、繁盛旅館の礎を作り多くのファンを持った名物女将・佐々木ヨシヱさんに引き継がれ、3代目の金次郎氏、4代目の義朗氏と続く。
そうしたストーリーは創業100年を記念して作られた、フロント横の展示パネルにわかりやすくまとめられている。
もちろん形だけで、そうした歴史を引き継いでいるわけではない。
初代の見つけたこの宿の源泉は、今でこそしっかりと石垣が組まれ湖と分かつ仕切りがあるが、発見した時はもちろん綺麗に分かれてはいなかったはずだ。
湖面に湧き上がる微妙な湯けむりのみを頼りに、湖の湖面に触れながら、時に潜って確かめながら慎重に源泉を探っていったのではないだろうか?
陸地に湯が湧き出ているならばわかりやすいが、源泉の湧出口が湖の中とあってはそれを探し当てるのは並大抵の苦労ではないことは容易に想像がつく。
もちろん見つけた時の喜びも大きかったことだろう。
そうした、当時の温泉があまり形を変えることなく残っているのは、イチ温泉ファンとしても素直に嬉しい。
支笏湖と共に水位が変わるということは、一般的な源泉掛け流し温泉と比べても、段違いに湯温の調節も難しいはずだ。
支笏湖と完全に区切ってしまい、湯もポンプで引き上げればどれだけその作業は楽になるのだろうか?
だが、この宿ではそうしない。
初代の見つけた源泉をそのままに、常に最高の状態の湯を提供しようとする姿勢には本当に頭が下がる思いだ。
これだけを見ても、初代の思いは確実に受け継がれていると確認できる。
これからもできる限り、この自然の中で、ずっとこのままでいてほしい、宝石のように大切にしていきたい宿である。
2021年より、日生下(ひうけ)和夫氏が、代表取締役として、この宿の運営をしている。
彼は、公認会計士事務所にて2年間勤務。その後、ホテル専門学校を経て、大手ホテルチェーンに入社してマネジメントの基礎を学んだ。2007年に大手リゾートホテルグループに移り、リーダーとして、数々の旅館・ホテルを再生、開業に腕を振るった。そして丸駒温泉旅館を引き継ぐ事となった。
プロの経営者でありながら、ルーツは兵庫県・城崎温泉の老舗旅館の次男。
昔ながらの温泉旅館の良さを生かしつつ、顧客満足度を上げ、もちろん業績も、短期間で上昇させた。
この自然に囲まれた環境と、他にないストーリーのある温泉旅館を未来永劫続けるため日夜奮闘している姿が素晴らしい。
丸駒温泉旅館は、秘湯の一軒宿でありながら、その滞在スタイルは、大自然と一体化したリゾートホテルでもある。類まれなるその個性は、間違いなく、他の温泉旅館を凌駕する魅力に溢れている。
料金データ
1泊2食料金 | 22,000円~(税込) |
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1泊朝食料金 | 12,000円~(税込) |
素泊り | 設定なし |
一人泊 | 36,850円~(税込) |
宿泊時の貸切風呂料金 | 2,750円~(税込)/50分 |
日帰り温泉 | 受付時間:10:00~14:00 ※営業日:金・土・日曜日 料金:大人(中学生以上)1,200円、子供(小学生)600円、幼児(3歳以上)300円、幼児(3歳未満)無料 |
日帰り貸切温泉 | 駒の湯(露天風呂付貸切温泉):10:00~14:00 50分2,750円(別途日帰り入浴料金が必要) 丸の湯(バレルサウナ付き):10:00~14:00 50分4,400円(別途日帰り入浴料金が必要) 110分7,700円(別途日帰り入浴料金が必要) |
宿データ
創業 | 大正4年 |
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チェックイン | 15:00 |
チェックアウト | 10:00 |
宿の立地環境 | 湖・山 |
部屋数 | 全55室 |
収容人数 | 150名 |
駐車場 | 50台 |
施設 | ロビーラウンジ・売店 |
インターネット | 全館Wi-Fi 利用可 |
バリアフリー | 一部対応 |
シャワー付きトイレ | 完備 |
交通アクセス
電車 | ●JR線千歳駅より支笏湖行きバスで45分。 支笏湖畔バスターミナルから丸駒温泉送迎バスで15分 |
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送迎 | あり(バス停)支笏湖畔バスターミナルから送迎あり、宿泊客のみ要予約(所要時間15分) |
クルマ | 札幌市内より約1時間。新千歳空港より車で約50分。 |
住所 | 北海道/丸駒温泉/丸駒温泉旅館 〒066-0287 北海道千歳市幌美内7番 TEL:0123-25-2341 |
- データ制作
- 2025/06/19