山形県／かみのやま温泉『展望露天の湯　有馬館』の温泉解説−本物の温泉を使った宿のみご紹介しています。−温泉検索どっとこむ

◆この湯に浸かった著名人

◆温泉レポート

「かみのやま温泉」は、泉質が概ね同じ3つの源泉を所有しており、貯湯槽で混合した後、各施設へ配湯している。ただし常に全ての源泉を使用しているわけではなく、気温が高い夏季は一番温度が高い源泉井戸は休ませるなどして、限りある温泉資源を未来に残すための努力を行っている。

泉質名は「ナトリウム・カルシウム―塩化物・硫酸塩温泉」。
pH(水素イオン濃度)は7.9の弱アルカリ性だ。
一般的に人間の肌は弱酸性(pH4.5〜6.0)であるため、弱アルカリ性の温泉に浸かると皮膚表面の古くなった角質が溶けてツルツルとした肌触りになる。古い角質が取れるため、湯上がりには肌が生まれ変わったような感覚が得られるだろう。
泉質名に現れていない成分にも注目。メタケイ酸が源泉1kgあたり58.0mg含まれており、既定値(50mg)以上だ。メタケイ酸は乾燥させるとシリカゲルという、乾燥剤として使用される物質になる。要するに保水力がとても高いので、弱アルカリ性の温泉によって角質が取れたところに水分を保持する効果が期待できる。保湿効果により湯上がりには肌がしっとりと感じられるだろう。

この泉質ならではの適応症はきりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症の5つ。塩化物泉と硫酸塩泉の泉質別適応症は共通しているため、効果は特に高いと考えられる。まず、塩化物泉には塩分による肌の殺菌作用、硫酸塩泉には肌の蘇生作用があるため、きりきずなどの皮膚表面のトラブルに効果がある。
また、どちらの泉質にも共通する特徴が肌をコーティングしてくれることだ。そのため入浴すると身体がよく温まり、そしてこのポカポカ感が長続きするので、抹消循環障害や冷え性に効果がある。また身体を温めるとうつ状態が良くなりやすいということもわかっている。さらに湯上がり後の肌乾燥も抑えるので皮膚乾燥症の解消にも役立つだろう。

弱アルカリ性成分によるクレンジング効果、メタケイ酸による保湿効果、硫酸塩泉による肌の蘇生効果はすべて美肌の湯と言われる条件とされている。これほど多くの条件に当てはまる温泉は日本広しといえども珍しい。

さらにここは保健所から正式に飲泉が認められていることも大きな魅力。飲泉が認められるためには非常に厳しい衛生基準を満たす必要があるので、飲泉所はとても貴重だ。
欧米では飲泉を医療行為として行う地域もあるなど、その健康効果は折り紙付き。ただし温泉はミネラルが豊富な硬水であることが多く、一方で日本の水道水は軟水であるため、飲用する場合は定められた1日の限度量(ここの場合は363ml)を越えないように注意しよう。
ここの温泉を飲用することで得られる適応症は萎縮性胃炎、便秘、胆道系機能障害、高コレステロール血症の4つ。温泉成分が胃腸の消化液や胆汁の分泌を促し、さらに腸の蠕動（ぜんどう）運動を活発化させるので、これらに効果があると考えられる。