最上高湯 善七乃湯
Mogami Takayu Zenshichi-no-Yu English Page
| 酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉 | pH |
|
| Acidic, Sulfur containing-Aluminum-Sulfate / Chloride Springs | ||
| (低張性 酸性 高温泉) | ||
| 旧泉質名:含明礬・食塩―酸性硫化水素泉 | ||
こんな人に最適
- アトピーなど皮膚トラブルでお悩みの方
- 冷え性の方
- 顔のシミが気になる方
- ストレスを感じている方
- 顔のハリツヤが気になる方
- 美肌効果を試したい方
- 生活習慣病(糖尿病)でお悩みの方
- 乾燥肌の方
- 切り傷が気になる方
- 住所
- 〒990-2301 山形県山形市蔵王温泉825
- TEL
- 023-694-9422
宿の公式HP
| 源泉 | 利用状況 | |
|---|---|---|
| 湧出状況 |
温泉力 チャート(5段階評価)
水素イオン濃度 (pH)

- 一言コメント
- 多少ピリッと感じる殺菌効果の高い温泉
温泉スペック
※環境省から2014年7月に改訂された「鉱泉分析表指針」の泉質別適応症を元に、分かりやすく表現したものです。
| ①メンタル回復 | ②不眠症 | ③血行促進 | ④冷え性 | ⑤ドライスキン |
| ⑥きりきず | ⑦皮膚病 | ⑧高血圧(軽症) | ⑨胸やけ(飲用)) | ⑩胃腸の不調(飲用) |
| ⑪便秘(飲用) | ⑫生活習慣病 | ⑬糖尿病 | ⑭痛風 | ⑮メタボ対策 |
| ⑯胆道系の不安 | ⑰貧血 | ⑱関節リウマチ | ⑲脊椎の痛み | ⑳免疫力アップ |
| ㉑筋肉痛・神経痛 | ㉒軽い喘息 | ㉓痔の痛み | ㉔病後回復 | ㉕疲労回復 |
- ※注①・・・泉質別適応症に、自律神経不安定症、うつ状態がある泉質(単純温泉・塩化物泉・硫酸塩泉・二酸化炭素泉)。
- ※注③・・・泉質別適応症に、末梢循環障害がある泉質(塩化物泉・炭酸水素塩泉・二酸化炭素泉・硫化水素型の硫黄泉)。
- ※注④・・・泉質別適応症に、冷え性がある泉質(塩化物泉・炭酸水素塩泉・硫酸塩泉・二酸化炭素泉)と含鉄泉。
- ※注⑦・・・泉質別適応症に、皮膚乾燥症、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、表皮化膿症、慢性湿疹がある泉質(塩化物泉・炭酸水素塩泉・硫酸塩泉・酸性泉・硫黄泉)。
- ※注⑨・・・飲用の泉質別適応症に、逆流性食道炎がある泉質(炭酸水素塩泉)。
- ※注⑩・・・飲用の泉質別適応症に、萎縮性胃炎、胃十二指腸潰瘍がある泉質(塩化物泉・炭酸水素塩泉)。
- ※注⑪・・・飲用で、塩化物泉と硫酸塩泉。
- ※注⑫・・・泉質別適応症に、高コレステロール血症、糖尿病、痛風がある泉質(浴用で、酸性泉・放射能泉/飲用で、炭酸水素塩泉・含よう素泉・硫黄泉)。
- ※注⑮・・・飲用の泉質別適応症に、高コレステロール血症がある泉質(硫酸塩泉・含よう素泉・硫黄泉)。
- ※注⑱⑲・・・泉質別適応症に、関節リウマチ、強直性脊椎炎がある泉質(放射能泉)。
- ※注⑳・・・放射能泉。
- ※注㉑㉔・・単純温泉は、刺激が少ないのでリハビリに適しており、泉質別適応症にはないが「神経痛の湯」「脳卒中(中風)の湯」とも呼ばれている。
| 泉質別適応症に該当 | 一般的適応症に該当 |
美肌の湯 7要素
合計4ポイント ※「美肌の湯」と呼ばれる泉質をポイント数で表しました。
| クレンジング・なめらか効果 | シワ防止・蘇生効果 | 美白・シミ予防効果 |
|---|---|---|
| 炭酸水素塩泉 | 硫酸塩泉 | 硫黄泉 |
| 角質除去・つるすべ効果 | コーティング・保湿効果 | しっとり・保湿効果 | 洗浄効果 |
|---|---|---|---|
| (弱)アルカリ性の温泉 | 塩化物泉 | メタけい酸(100mg/kg以上) | メタほう酸(10mg/kg以上) |
- ※「四大美人泉質」は「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「硫黄泉」「(弱)アルカリ性単純温泉」と言われています。
- ※「塩化物泉」は塩分パックで肌をコーティングする事で、保温・保湿効果と同時に、温泉成分をキープしてくれます。角質が除去された「美人の湯」の後に入る「仕上げの湯」とも呼ばれています。
- ※メタけい酸が、100mg/kg以上含有している温泉は、保湿効果が優れ、「美肌の湯」と言われています。
- ※「メタほう酸」は洗浄作用があり、目薬にも一部使用され、にきびにも効果があると言われています。
湯ざわり(入浴時)感触メーター(5段階評価)

| つるつる | とろとろ | ||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| さらさら | もちもち | ||||||||||
| しゅわしゅわ | ぴりぴり | ||||||||||
湯あがり(入浴後)感触メーター(5段階評価)

| すべすべ | かさかさ | ||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| さらさら | ぺたぺた | ||||||||||
| しっとり | ぽかぽか | ||||||||||
露天風呂からの眺望メーター(5段階評価)

| 木々に覆われ、山奥の露天風呂に浸かる感覚で楽しめる |
| 庭園露天風呂(混浴) |
| 評価 4 |
|---|
源泉の利用状況
| 加水 なし |
加温 なし |
消毒 なし |
循環 なし |
入浴剤 なし |
|---|---|---|---|---|
| ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ※源泉100%かけ流し・・・すべてのお風呂が循環ろ過・消毒をしていない。 | ||||
| 源泉率 | 100% | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 湯の入替 | 大浴場・庭園露天風呂・貸切露天風呂・・・週に1回 客室露天風呂・・・お客様毎 |
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| 源泉の湧出状況 | 自然湧出 | ||||
| 源泉(分湯枡)から湯船までの距離 | 大平源泉から分湯枡までの距離・・・80m 辻屋源泉から分湯枡までの距離・・・100m |
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| 引湯方法 | 密閉式塩ビパイプ | ||||
| 温度の調整方法 | 大平源泉45℃と辻屋源泉53℃を混合して調節 | ||||
| 飲泉 | 不可 | ||||
| 源泉かけ流し風呂 | すべてのお風呂 | ||||
温泉成分表 温泉分析書
| 泉質名 | 酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉(低張性 酸性 高温泉) 旧泉質名:含明礬・食塩―酸性硫化水素泉 |
|---|---|
| 湯の色 | 乳白色 |
| 湯の香り | 硫黄臭 |
| 溶存物質 | 3,432 mg/kg ※有効成分が市販の入浴剤の約22倍! (ガス性のものを除く成分①+②+③の合計) |
| 泉温 | 51.9℃(調査時の気温5℃) |
| pH値 | 1.7(酸性) |
| 湧出量 | 約340リットル/分 一人あたりの温泉利用量(湧出量/収容人数) :約2.59リットル/人(最大収容人数131人) |
温泉の成分(源泉1kg中に含有する分量)
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|---|---|---|---|
| ①陽イオン | ミリグラム | ミリバル | ミリバル% |
| 水素イオン(H+)★ | 20.0 | 19.84 | 38.61 |
| アルミニウムイオン(Al3+)★ | 124.7 | 13.87 | 26.99 |
| マグネシウムイオン(Mg2+) | 97.2 | 8.00 | 15.57 |
| カルシウムイオン(Ca2+) | 103.3 | 5.15 | 10.02 |
| ナトリウムイオン(Na+) | 68.7 | 2.99 | 5.82 |
| カリウムイオン(K+) | 29.0 | 0.74 | 1.44 |
| 鉄(Ⅱ)イオン(Fe3+)★ | 17.8 | 0.64 | 1.25 |
| マンガンイオン(Mn2+) | 4.2 | 0.15 | 0.29 |
| 亜鉛イオン(Zn2+) | 0.4 | 0.01 | 0.02 |
| 計① | 465.3 | 51.39 | 100.00 |
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|---|---|---|---|
| ②陰イオン | ミリグラム | ミリバル | ミリバル% |
| 硫酸イオン(SO42-)★ | 1309 | 27.26 | 54.13 |
| 塩化物イオン(Cl-)★ | 471.4 | 13.30 | 26.41 |
| 硫酸水素イオン(HSO4-) | 879.9 | 9.07 | 18.01 |
| ふっ化物イオン(F2-)★ | 13.2 | 0.69 | 1.37 |
| 臭化物イオン(Br-) | 2.5 | 0.03 | 0.06 |
| よう化物イオン(I2-) | 0.7 | 0.01 | 0.02 |
| 計② | 2677 | 50.36 | 100.00 |
| ③非解離成分 | ミリグラム | ミリモル | |
|---|---|---|---|
| メタけい酸(H2SiO3)★ | 238.4 | 3.05 | |
| メタほう酸(HBO2)★ | 6.9 | 0.16 | |
| 遊離硫酸(H2SO4) | 44.3 | 0.45 | |
| 計③ | 289.6 | 3.66 | |
| 溶存ガス成分 | ミリグラム | ミリモル | |
|---|---|---|---|
| 遊離二酸化炭素(CO2)★ | 379.0 | 8.61 | |
| 遊離硫化水素(H2S)★ | 6.6 | 0.19 | |
| 計④ | 385.6 | 8.8 | |
| その他微量成分 | |||
|---|---|---|---|
| なし |
★のマークがついているところは、「泉質名」に関わる成分と、「温泉」「療養泉」の資格条件になる成分です。
【この泉質ならではの浴用の適応症】(2014年7月1日改定)
尋常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症、アトピー性皮膚炎、慢性湿疹、きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
【浴用の一般的適応症】(2014年7月1日改定)
筋肉もしくは関節の慢性的な痛みまたはこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え症、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽傷高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息または肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進
【この泉質ならではの浴用の禁忌症】(2014年7月1日改定)
皮膚または粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症
【浴用の一般的禁忌症】(2014年7月1日改定)
病気の活動期(特に熱のあるとき)、活動性の結核、進行した悪性腫瘍又は高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓又は肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性の病気の急性増悪期
【飲用の適応症】
※飲用不可
【分析日】(上記の温泉成分表は下記機関の調査データより引用)
2014年11月1日(株式会社丹野)
- ※適応症・禁忌症に関しては、平成26年7月の改正の「鉱泉分析法指針」に準拠しています。
- ※宿よりデータを提供して頂きました。
「温泉」の資格20項目と「療養泉」の資格8項目
| 条件/成分(1kg中の割合) ※ひとつでも条件をクリアすれば「温泉」「療養泉」 |
A【温泉法】 「温泉」の条件(規定値) |
B【鉱泉分析法指針】 「療養泉」の条件(規定値) |
|
|---|---|---|---|
| 1 | 温度(泉源から採取される時点) | 25℃以上 | |
| 2 | 溶存物質(ガス性のものを除く) | 総量1000mg以上 | |
| 3 | 遊離二酸化炭素(遊離炭酸) (CO2) | 250mg以上 | 1000mg以上(二酸化炭素泉) |
| 4 | リチウムイオン(Li+) | 1mg以上 | ― |
| 5 | ストロンチウムイオン(Sr2+) | 10mg以上 | ― |
| 6 | バリウムイオン(Ba2+) | 5mg以上 | ― |
| 7 | 総鉄イオン[鉄(Ⅱ)イオン(Fe2+)+ 鉄(Ⅲ)イオン (Fe3+)] | 10mg以上 | 20mg以上(含鉄泉) |
| 8 | マンガン(Ⅱ)イオン(第一マンガンイオン)(Mn2+) | 10mg以上 | ― |
| 9 | 水素イオン(H+) | 1mg以上 | 1mg以上(酸性泉) |
| 10 | 臭化物イオン(Br-) | 5mg以上 | ― |
| 11 | よう化物イオン(I-) | 1mg以上 | 10mg以上(含よう素泉) |
| 12 | ふっ化物イオン(F-) | 2mg以上 | ― |
| 13 | ひ酸水素イオン(ヒドロひ酸イオン)(HAsO42-) | 1.3mg以上 | ― |
| 14 | メタ亜ひ酸 (HAsO2) | 1mg以上 | ― |
| 15 | 総硫黄 (S) [HS-(硫化水素イオン)+ S2O32-(チオ硫酸イオン)+ H2S(遊離硫化水素)] | 1mg以上 | 2mg以上(硫黄泉) |
| 16 | メタほう酸(HBO2) | 5mg以上 | ― |
| 17 | メタけい酸(H2SiO3) | 50mg以上 | ― |
| 18 | 炭酸水素ナトリウム(重炭酸ソーダ)(NaHCO3) | 340mg以上 | ― |
| 19 | ラドン(Rn) | 20ナノキューリー以上 20×10-10Ci(キューリー)以上 20(20百億分の1キューリー単位)以上 =74Bq(ベクレル)/5.5マッヘ以上 |
30ナノキューリー以上(放射能泉) 30×10-10Ci(キューリー)以上 30(百億分の1キューリー単位)以上 =111Bq(ベクレル)/8.25マッヘ以上 |
| 20 | ラジウム塩(Raとして) | 10-8mg以上 1億分の1㎎以上 |
― |
| この温泉・療養泉の資格条件 クリア数 | 9 (20項目中) | 4 (8項目中) | |
| 合計 13 ポイント | |||
※日本における「温泉」と呼ばれる条件をポイント数で表しました。
温泉の言い伝え/その他
伝承による効能
皮膚病、美白
この湯に浸かった歴史上の人物
ー
この湯に浸かった著名人
高梨沙羅さん(女子スキージャンプ)
温泉の解説
泉質で評判の蔵王温泉の中でも、温泉のこだわりを強く感じさせる宿。その温泉に関する熱意の表れは、その源泉の使い方だ。 循環ろ過・消毒をせず、常に新しい温泉を湯船に注ぎ、オーバーフローさせて常に新しい温泉に入れ替わる、いわゆる“源泉かけ流し”は当然ながら、その温度調節にも、温度の違う2つの源泉を、その日の気温を考えてブレンドして適温にするといった“手作り”の源泉100%かけ流し温泉がここでは体感できるという。
そして、自家源泉であることも見逃せない。 温泉は、ほかの物質と同じで、空気に触れるところから酸化(劣化)が始まる。つまり、源泉の井戸から湯船までの距離が短ければ短いほど、新鮮な温泉に触れることができる。同じ敷地内に源泉井戸があることは非常にありがたい事なのだ。 さらにその源泉は、モーターによって湯をくみ上げる装置を使わず、自然湧出である事もアドバンテージのひとつ。それは地表に近いところに源泉があり、そこから動力を使わず、温泉が湧き出てきているという意味。その分、不純物が混合される可能性が少ない。これは、蔵王温泉全体の特長でもあるが、機械が存在しなかった時代からの、古い歴史を持つ温泉地の証しでもあるのだ。
温泉のキャラクターを示す溶存物質の量も、3,432mg/kgと、すこぶる濃いのも特徴のひとつ。
泉質名は「酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉」。分かりやすく言うと現在10に分類されている泉質のうち、「酸性泉」「硫黄泉」「硫酸塩泉」「塩化物泉」・・・と、贅沢に4つの泉質を持っている温泉なのである。
まず「酸性泉」は、温泉水1kg中に、水素イオンを1mg以上含有していることが条件のひとつ。陽イオンである水素イオンは、20 mg/kg、38.61 mval% も含有されていて、pH値(水素イオン濃度)は、酸性の1.7・・・とあるように、強い酸性を示す場合が多い。
殺菌力が非常に高く、肌表面のトラブルの原因を広く取り除くので、「皮膚病の湯」と言われている。水虫にも効果的だ。 そして、アトピー性皮膚炎の原因のひとつである黄色ブドウ球菌の殺菌にいいとされる。黄色ブドウ球菌は、酸性の環境では繁殖を抑えられるからだ。
他に、泉質別適応症には、尋常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症とある。さらに白癬(はくせん)症、トリコモナス膣炎、疥癬(かいせん)等にも効果があるという。
次に「硫黄泉」についてだが、その条件のひとつは、温泉水1㎏中に、総硫黄(①硫化水素イオン+②チオ硫酸イオン+③遊離硫化水素の合計)を2㎎以上含有すること。 硫黄泉はさらに2種類あり、①+②が主体の「硫黄型」と、③が多い「硫化水素型」とあるが、ここ蔵王温泉は「硫化水素型の硫黄泉」となる。
湯の色は乳白色となり、泉質別適応症も「酸性泉」と共通項が多く、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症となる。さらに、硫化水素型の硫黄泉には、末梢循環障害も加わる。
「硫黄泉」は「酸性泉」と同じく殺菌効果が高いので、肌表面のトラブル全般に効く「皮膚病の湯」とされているが、さらに「硫黄泉」は余分の皮脂を取り除くので、ニキビが出やすい人、オイリースキンの方には相性がよく、シミの原因物質であるメラニンの生成を抑えるので「シミ予防の湯」とも呼ばれ、さらに美白効果も期待できる。つまり、「硫黄泉」は典型的な「美肌の湯」なのである。硫黄の還元作用は、老化の原因物質である活性酸素とも反応するため若返り効果も期待できるだろう。
付け加えて、ぜんそくを和らげる効果や、痰のキレをよくすることから「痰の湯」と呼ばれる事もある。
気を付けなければならないのは、指輪やネックレスの金属類は硫黄成分による変色があるので、入浴の際は必ず外すことを覚えていてほしい。
浴用の泉質別禁忌症としては、皮膚又は粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症(※酸性泉と同じ)。
つまり、「硫黄泉」は「酸性泉」と同じく、刺激が強い泉質なので、病弱者、高齢者、肌の弱い人には注意が必要で、「湯あたり」しやすいと言える。「酸性泉」~殺菌の湯と、「硫黄泉(硫化水素型)」~美肌の湯の組み合わせの泉質は、名湯と呼ばれる温泉に多い。ただし、効能が強い分、比較的高いという事を覚えておいて欲しい。
「硫酸塩泉」の条件のひとつは、陰イオンの主成分が硫酸イオンであること。
硫酸イオンは、殺菌効果や抗炎症作用があるので、きりきずや関節炎、筋肉痛などの痛みや炎症を和らげる。したがって「傷の湯」と呼ばれる。また、血管を拡張させ、血液に多くの酸素を送り込む作用があることで「脳卒中の湯」とも呼ばれる。これにより血流が滞りやすい末梢部分(手足など)の血行が促進され、冷え性や末梢循環障害の改善に役立つ。このような血行促進や鎮静作用により、自律神経の調整が行われ、ストレス軽減や精神的な安定に影響を与え、うつ状態の改善にも寄与する。さらには、皮膚の角質層を柔らかくする作用があり、乾燥した皮膚に水分を補給させるので、皮膚乾燥症も改善される。つまり、コラーゲンの生成を促し、肌の蘇生を導き、新陳代謝を活性化する。肌に張りと潤いを与えるアンチ・エイジング作用が期待できる事で「若返りの湯」「美肌の湯」と言われるのだ。
陰イオンである硫酸イオンは、ここでは陽イオンのアルミニウムイオンと結びつき、アルミニウム-硫酸塩泉となる。旧泉質名で明礬(みょうばん)泉という。2014年の鉱泉分析法指針の改訂により、アルミニウムイオンは、温泉の資格条件から外された経緯はあるが、アルミニウム-硫酸塩泉の効果は、皮膚や粘膜を引き締める収れん作用(たんぱく質を変性させて組織を引き締める)があり、水虫、湿疹などの慢性皮膚病や、トリコモナス膣炎などにいいと言われていた。
「塩化物泉」の条件のひとつは、陰イオンの主成分が塩化物イオンであること。
浴用の泉質別適応症は、硫酸塩泉と同じく、きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症となる。
「塩化物泉」の最大の特長は、湯に浸かると、塩分がまるでパックのように身体を覆ってくれる事。このパックが汗腺(汗を分泌する器官)を塞ぐので、湯上がり後の体温低下が緩やかになりポカポカ感が長続きするのだ。
このため「塩化物泉」は「熱の湯」とも呼ばれる。冷え性は、他の泉質も適応症として認められることがあるが、「塩化物泉」は特に効果が高い。同時に、長続きするポカポカ感は、末梢循環障害の改善に役立つ。またこの塩分パックは、温泉成分のコーティング効果と保湿作用のため、湯上がり後の皮膚乾燥も抑えてくれる。
持続的な保温効果は、自律神経のバランスが整いやすく、精神的な安定感をもたらす。さらに体温上昇によりストレスホルモンの分泌が抑えられ、気分の改善に寄与する可能性があり、うつ状態に効果を発揮する。
また、皮膚の古い角質を取る「(弱)アルカリ性単純温泉」「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「硫黄泉」などの、いわゆる「美肌の湯」の温泉に入った後の「塩化物泉」は、塩分コーティング&保湿作用で「仕上げの湯」とも称される。
さらに、塩分の殺菌作用で、きりきずや火傷に効果が発揮され「傷の湯」と呼ばれることもある。
ここで、泉質名には反映されなかったが、温泉の資格条件をクリアした成分について解説したい。
まず、陽イオンには、鉄(Ⅱ)イオンが、17.8 mg/kg も含有している。10 mg/kg以上で温泉の資格条件を満たし、20 mg/kg以上で含鉄泉に格上げされるが、ほぼ含鉄泉と言っていい。鉄(Ⅱ)イオンが主成分の含鉄泉は、2014年の改訂前では、貧血、更年期障害、月経障害、冷え性など、女性に見られがちな症状に効果的と言われてきた。改定後は化学的根拠に乏しいという事で泉質別適応症から外された経緯がある。しかし、硫黄泉、塩化物泉などとの連携作用により、保温効果は期待できる。
次に、陰イオンのふっ化物イオンも、13.2 mg/kg も含有されており、温泉の資格条件の2 mg/kg 以上を大きくクリアしている。ふっ化物イオン(フッ素)は、歯磨き粉に含有されるケースが多く、歯のエナメル質を強化し、虫歯予防に役立つことが知られている。温泉の浴用においては、アルミニウムイオンなどの成分が持つ収れん作用(皮膚・粘膜の引き締め)を補助的に支えるとも言われており、関節痛や神経痛の鎮痛・緩和作用が期待される。
陽イオン、陰イオン以外の非解離成分である「メタけい酸」の量にも注目したい。
源泉1 kgあたり238.4 mgも含まれており、これは温泉の資格を得る基準値(50 mg/kg以上)の5倍近く含まれている事を意味する。「メタけい酸」は一部の化粧水の原料として使われるなど、保湿作用がある。「メタけい酸」が100 mg/kg以上になると、その保湿効果がより分かるようになり、いわゆる「美肌の湯」と言ってもいいだろう。
同じく非解離成分の「メタほう酸」も、6.9 mg/kgも含まれており、温泉の資格基準値(5 mg/kg以上)を超えている。洗浄効果を持つ成分で、ニキビ予防に効果的と言われている。10 mg/kg以上になるとサブ的な意味合いではあるが「美肌の湯」と言われる条件のひとつとされる。
溶存ガス成分の中に、遊離二酸化炭素が379.0 mg/kgも含有している。いわゆる炭酸ガスだが、CO₂(二酸化炭素)は皮膚から吸収されると、血管拡張作用を引き起こす。これにより血流が促進され、特に「高血圧」「冷え性」「動脈硬化」などの改善が期待されるわけだ。ただ、この温泉は高温のため、炭酸ガス特有の泡はとんでしまい見る事は出来ない。
最後に、温泉評論家はじめ温泉を研究されている方の中では有名であるが、日本の名湯のシンボル的存在の群馬県・草津温泉の泉質と蔵王温泉の泉質は、pH値はもちろん、温泉を構成しているイオンの種類とバランスが非常によく似ている。一部では蔵王温泉のことを「北の草津温泉」と称する方もいる。しかしながら、その温泉1kg中の蔵王温泉の溶存物質の量は、草津温泉のほぼ2倍含有している事を明記しておく。
| 大浴場・内湯 | 庭園露天風呂(混浴) |
|---|---|
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| 男女別大浴場の内湯。時間により男女入れ替えとなる。毎分30リットルの大量の源泉が注がれるが、それはこの大きな浴槽に約15分で湯張りができるほど。宿の主が源泉100%かけ流しにこだわるシンボル的なお風呂。 | 男女大浴場の先には、蔵王温泉で唯一の混浴の露天風呂がある。ただし入浴前に専用の湯浴み着をフロントで借りなければこの混浴エリアには行けないので注意。春夏は緑、秋は紅葉、冬は雪見・・・と季節ごとに堪能できる。 |
| 貸切露天風呂「大黒天」 | 貸切露天風呂「福禄寿」 |
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| この宿名物の貸切露天風呂のひとつ。源泉井戸から一番近いお風呂で、それだけ一番新鮮な温泉が体感できるというわけだ。自然と一体化できる人気の貸切露天風呂。 | 自然の中に溶け込むような石風呂が野趣満点。温度設定も他のお風呂より多少ぬるめ(41℃)にしている。しかしながら長湯が過ぎると湯あたりしやすいので注意が必要。 |
宿レポート
蔵王温泉は、山形県・山形市南東部、蔵王連峰の西側の麓、標高900mに位置する温泉地で、東北地方では知名度はもちろん、湯量も国内屈指の温泉リゾート地と言えるだろう。
開湯は、なんと西暦110年頃と言われ、日本屈指の古湯と知られている。蔵王温泉は古くは、最上(もがみ)高湯と呼ばれ、同県の白布(しらぶ)高湯温泉、福島県の信夫(しのぶ)高湯温泉と共に、奥羽三高湯のひとつに数えられた。
「最上高湯 善七乃湯」も歴史が古く、創業は江戸時代中期なので300年を経ている。
この宿の社長・岡崎善七氏(13代目)は、温泉への造詣が深く、「最上高湯 善七乃湯」という屋号にもその意思が感じられる。社長自ら、常に温泉に関する新しい情報や知識を取り入れ、自ら経営する温泉宿に生かしている。 出張などが無い時以外は、夕食後に希望する宿泊客相手に「温泉教室」を開催するぐらいだ。
お風呂の充実ぶりも見逃せない。豊富な自家源泉を利用して、貸切露天風呂も5つに増やした。その他にペット専用のお風呂もあれば、プライベートサウナを楽しめるものもある。さらには、湯浴み着使用が条件だが、蔵王温泉唯一の混浴の露天風呂も誕生させた。
客室も和室21、和洋室3、洋室6室の合計30室の構成だが、ペットと宿泊できる部屋や、人気の露天風呂付きの特別室、さらにはリーズナブルな客室も用意されている。
蔵王温泉といえば、冬はスキー場が近くあり、名物の樹氷を観られるので人気のシーズンだが、温泉を主目的とする方は、季節関係なく通われる方も多いようだ。
ちなみに春には桜の名所が多く、6月になると、さくらんぼから始まり、夏にはぶどう、桃などフルーツ狩りでにぎわう。そして10月になると本格的な紅葉シーズンとなる。
食事も地元の美味しいお米が食べられるのはもちろん、評判の高い山形牛など食材の宝庫と呼ばれる山形県ならではものが味わえる。
常にゲストの要望をくみ取り、できる限りそれを具現化しようとしている意欲が感じられる宿と言えるだろう。
スタッフの接客も自然体で、心地いい環境を用意してくれている。リピーター客が多いというのも納得した。
料金データ
| 1泊2食料金(税込) | ¥15,000~ |
|---|---|
| 宿泊時の貸切風呂料金 | 宿泊客は、貸切風呂は無料 |
| 日帰り入浴 | 大人1,000円~(税込) 小学生以下500円 未就学児0円 |
| 日帰り貸切温泉 | 可能 |
| 日帰り入浴サイト | 『善七クービック』で検索 |
宿データ
| 創業 | 江戸時代中期(約300年前) |
|---|---|
| チェックイン | 15:00 |
| チェックアウト | 10:00 ※プランにより11:00など |
| 部屋数 | 全30室(和室21/和洋室3/洋室6) |
| 最大収容人数 | 131名 |
| 駐車場 | 40台 |
| 施設 | 売店、卓球(有料)・宴会場・バーベキュー(有料)・製氷機・乾燥室 ※全館禁煙、ただし特別室『樹氷』のベランダの喫煙可 |
| インターネット | Wi-Fiあり |
| バリアフリー | 非対応 |
| シャワー付きトイレ | 洋室以外すべて設置 |
交通アクセス
| 電車 | 東京方面から約2時間30分。山形新幹線でJR山形駅下車。 JR山形駅より蔵王温泉行き路線バス37分。/蔵王温泉バスターミナルから宿まで送迎あり。 |
|---|---|
| 車 | 東北自動車道→山形道の山形蔵王ICで降りる→西蔵王高原ラインを使って約30分。 |
| 住所 | 山形/蔵王温泉/最上高湯 善七乃湯 〒990-2301 山形県山形市蔵王温泉825 TEL:023-694-9422 |
- データ制作
- 2024/02/11





















